1. 「ヘルニア」と言われたけれど、症状が当てはまらない気がするとき
椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間にある椎間板の中身(髄核)の一部が、脊柱管の中へ飛び出して、神経を圧迫する状態です。神経が圧迫されると、お尻から足にかけての痛みやしびれ、足の力の入りにくさが出ることがあります。まれに、排尿・排便の異常や、足の急な強い脱力が出ることがあり、そうした場合は、医療機関での評価が必要になります。
一方で、腰の痛みが中心で、足の症状はあまりない、という方もいらっしゃいます。「ヘルニアと言われたけれど、自分の症状とは何か違う気がする」という感覚は、決して珍しいものではありません。
画像でヘルニアが見つかっても、必ず症状が出るわけではないためです。画像の所見の多くは、加齢に伴う変化の一部で、痛みとは関係しないこともあるとされています。診断は、画像だけでなく、症状や神経の所見を合わせて、総合的に行うとされています。
2. ヘルニアは小さくなる。では、なぜ腰痛が残るのか
ヘルニアは、体の免疫反応などによって、時間とともに小さくなることがあります。症状は、数週間から数か月ほどで和らぐ方が多い一方、画像上のヘルニアが小さくなるには、およそ半年から1年ほどかかることもあります。つまり、症状が楽になったあとも、画像上のヘルニアは、しばらく残っていることがあります。
そのため、画像に残るヘルニアの所見と、今の腰痛とは、分けて考える必要があります。以前の診断名だけで「今の腰痛もヘルニアのせい」と決めてしまわず、今の動きや姿勢、腰以外の関節の動きなどから、負担がかかっている場所を見ていくことが大切だと考えています。
◆ヘルニアになりやすい体の使い方
椎間板には、日々の体の使い方で、負担が積み重なります。前かがみで腰が曲がる動作を、仕事や生活の中で繰り返すことは、ヘルニアのリスクと関連することが報告されています。
座っている時間も、関係すると考えられています。座ると、腰の自然なカーブ(前弯)は大きく減り、骨盤は後ろへ傾きます。ただ、座る時間の長さとヘルニアのリスクについては、研究によって結果が分かれています。また、腰の前弯が少ない方に、ヘルニアが多いという報告もありますが、ヘルニアのせいで前弯が減っている可能性もあり、どちらが先かは分かっていません。
こうした腰の負担は、股関節が曲がる動きが少ないと、増えやすくなります。前かがみは、本来、股関節で曲がる動きと、腰で曲がる動きが分担して行うものです。股関節がうまく曲がらないと、その分を腰が肩代わりして、腰で曲げ伸ばしする回数が増え、椎間板への負担が積み重なりやすくなると考えられます。
◆ゆるめる刺激と、鍛える刺激の両方が必要
そこで、体の使い方を見直す視点が出てきます。股関節の前側の筋肉(腸腰筋など)が硬いと、股関節が伸びにくく、その分を、腰を反らすことで補いやすくなります。一方で、お尻の筋肉(臀筋)や、お腹まわりで体幹を支える力(腹圧)が働きにくいと、腰が支えきれません。そのため、硬くなっている部分をゆるめる刺激と、働きにくくなっている部分を鍛える刺激の、両方が必要だと考えています。
股関節がうしろへ伸びる動きを引き出し、腰の自然なカーブを取り戻していく。そのうえで、お尻やお腹の筋肉を使えるようにしていく。徒手療法は、その一部を担うものです。ただし、これは、足の痛みやしびれが強い急性期には、行えません。また痛みの出る方向や、楽になる方向は人によって異なるため、動きの評価が大切です。
3. 治療の選択肢は、時期によって変わります
ヘルニアと言われたあとの治療は、時期によって、選択肢が変わります。
◆急性期(足の痛みやしびれが強い時期):病院での治療が中心です
- 薬:痛み止めなどで、様子を見ます。
- 注射:痛みが強いときは、硬膜外ブロックや、神経根ブロック・椎間孔ブロックなどが検討されます。
- 手術:足の麻痺が進む、排尿・排便に異常が出る、保存的な治療でも改善しない、といった場合に検討されます。
この時期は、徒手の刺激で症状が強まる可能性があるため、欧米の診療ガイドラインの中には、マニピュレーションや牽引、マッサージなどを、急性期には避けるべきとするものがあります。
◆落ち着いてきたころ:リハビリや物理療法
病院では、運動療法や、温熱・牽引などの物理療法といった、リハビリが行われます。日本のガイドラインでも、保存的な治療の中に、理学療法が含まれています。
◆症状が落ち着いたあと:徒手療法という選択肢
病院での治療が一段落したあとにも、こんなお悩みが残ることがあります。
- 腰痛が続いている。前かがみや立ち上がりで、違和感がある
- 一度よくなったのに、少し戻ってきた気がする
- また痛むのではと不安で、腰を動かしにくい
- どんな動き方をすればよいのか、分からない
こうしたときに、徒手療法で、関節や筋肉の状態を整え、股関節や腰まわりの動き、負担のかかり方を見直し、日常の動作の指導を組み合わせていくことが、選択肢のひとつになります。
もうひとつ、神経の動きという視点があります。腰から出た神経は、足を動かすと、出口である椎間孔の中を、滑るように動くとされています。症状が強い間は、体も神経まわりも動かしにくくなりがちで、その状態が長引くと、神経の動きが出にくくなる可能性が考えられます。そこで、症状が落ち着いたあとに、神経を滑らせる動きを取り戻していくことが、慢性化させないための視点として大切だと考えています。神経を滑らせる運動(神経モビライゼーション)は、ヘルニアによる足の痛みやしびれに対して、痛みや機能の改善を評価する報告があります。
まとめ
「ヘルニアと言われたけれど、症状が当てはまらない気がする」「以前ヘルニアと言われて、今も腰痛がある」。そんな方は、診断名と今の症状を、一度分けて考えてみることが、腰痛と向き合う助けになります。ヘルニアは時間とともに小さくなることがあり、今の腰痛の原因が、別のところにある可能性もあります。
ヘルニアになりやすい背景には、前かがみの繰り返しや、座り姿勢、股関節の動きの少なさなど、椎間板に負担が集まりやすい体の使い方があると考えられます。ゆるめる刺激と、鍛える刺激の両方で、その負担を減らしていくことは、症状が落ち着いたあとの、徒手療法の役割のひとつです。足の痛みやしびれが強い急性期は、病院での治療が中心になり、徒手の刺激で症状が強まることもあるため、状態に合わせた慎重な対応が必要です。病院での治療と徒手療法は、どちらかを選ぶものではなく、時期によって役割を分け合うものです。
まずは一度、現在の状態をお聞かせください。急性期の強い症状があるときは、無理に施術を受けていただくものではありません。捉え方には様々なアプローチがあり、これは当院が重視している視点のひとつです。
整体院リザルト-RESULT-ひびきの院:北九州市若松区ひびきの北2-1 Legend113-805号 整体院リザルト-RESULT-小倉院:北九州市小倉北区大門2-3-18 ノースステイツ西小倉703号








