徒手療法において神経系へのアプローチは、伸張刺激が過度に加わっている箇所の滑走性と柔軟性を向上させる介入になります。
神経の伸張が生体に及ぼす影響は、血流や酸素供給に深く結びついています。以下は、神経伸張がもたらす影響です。

神経内血管への影響: 神経内血管はコイル状をなし、伸張時にはコイルが解れるものの、血管自体は伸張しないと言われています。しかし、8%の伸張で神経からの静脈流が減少し、15%の伸張で神経内外の血流が遮断されるとされています。例えば肘関節を曲げたところから伸ばす動作では、では、神経組織が移動し、実際の神経の伸張は4〜6%に抑えられます。これにより、正中神経への血流が遮断されず、虚血に陥ることはありません。

酸素供給と神経の敏感性: 酸素不足とは血流が正常より減少したり、一時的に減少している時でも起こります。神経は酸素不足に非常に敏感であり、酸欠状態になると神経機能が直ちに低下します。わずかな伸張でも持続時間が長くなると、神経は酸素不足に陥ります。

神経への機械的ストレスと閾値の変化: 神経に問題のある患者では、機械的ストレスに対する閾値が低下し、わずかな圧変化で病的症状が誘発されることがあります。また、圧迫された神経領域では、軽度の伸張によって異常が起こるとされています。
以上により

機械的な変化に与える原因は、脊柱管の狭窄度合いや、ヘルニアの有無、すべり症など疾患によるものから、関節の硬さや筋膜や神経周囲の組織の柔軟性や滑走性の低下などが原因で疾患からの問題を助長していることも考えられます。
なので疾患名を病院などで診断されても、症状がなかったり、程度が低い人もいたり、特に異常なしと言われたが症状はあるという人もいます。なので慢性痛は特に個別の状態に依存していることが多く、個別に評価し介入していくことが必要になります。