首や腰の疾患は脊柱の中でも多いですよね。頚椎ヘルニアや腰椎ヘルニアはあるけど胸椎ヘルニアはきかないですし、ぎっくり腰や寝違えはよく言われますがぎっくり背中はその数少ない傾向にあるかと思います。
脊柱の成り立ちを胎児期からの発生学的な観点から見ると脊柱は一次弯曲と二次弯曲という2つの異なる弯曲を持ち、これらが脊柱の機能と疾患の発生に関連していると考えられます。
一次弯曲は胎児期に形成され、後頭部と頚椎の間、骨盤そして胸椎に見られます。一方、二次弯曲は生後の発達過程で形成され、頚椎と腰椎に存在します。これらの弯曲は、重力や振動などの負荷を吸収し、サスペンションの役割を果たしています。
二次弯曲部位である頚椎と腰椎は可動性が高く、そのため椎間板ヘルニアなどの疾患が発生しやすい傾向にあります。対照的に、一次弯曲部位である胸椎や骨盤部は可動性はそれほど高くなく、胸椎ヘルニアや「ぎっくり背中」などの症状は稀です。
脊柱の弯曲には代償作用があり、一部の弯曲が変化すると他の部位で調整が行われます。例えば、猫背では胸椎後弯が強調され頚椎前弯が減少し、ストレートネックでは頚椎の弯曲が減少します。また、腰椎では反り腰(前弯の強調)やストレートランバー(弯曲の減少)が見られることがあります。このため頚椎や腰椎は可動性の代償を担うことが多いため首や腰の不調が多くみられると考えます。
治療アプローチとしては、可動性が亢進している部位には揉んだりストレッチをするのではなく、運動療法で支持性の向上を促すことが重要です。一方、可動性が低下している一次弯曲部位には、マッサージやほぐしなどの介入が効果的でしょう。